東南アジアの⾷に関するコラム



西欧とアジアの狭間にあるトルコ・チャイ(茶)の意味
2023.08.02
2023年42号コラム
トルコ・イスタンブールのボスポラス海峡から西側はヨーロッパ、東側はアジアだ、と一般には言われているが、対岸に渡っても、実際には何も変わらない。トルコのEU加盟申請は1987年以来そのままなおざりにされており、トルコ自体がヨーロッパ連合に加盟していないので、ヨーロッパであるとは現時点で言い切れない。イスタンブールの町全体が、未だにアジアの空気に覆われており、夜のレストラン街はアラブ的なダンス音楽に満ちあふれていた。
事実、私は仕事と個人旅行で2回ほどトルコを訪れ、この国をかなり広い範囲で動き回ったが、地理的には、政治、経済、文化、宗教、人種、教育などの極めて複雑な糸が絡み合った国だと思った。あらゆるものが交差し、入り混じっている国だが、「トルコ人」としてのアイデンティが存在するからこそ、「トルコ」という国が成り立っている。
その一つが、世界に名だたる壮大なイスラム教寺院等、奇妙な地形を有するカッパドキアのような観光地、トルコ語という独自の言語、世界3大料理の一つトルコの宮廷料理、トルコ流のもてなしを表す「トルコチャイ(茶)」など、どれも他国にはない、独自のものであり、この国らしさを象徴している。私の最初の旅行は、ローカル長距離バスに乗りトルコを1周するもので、そこでは安旅行ながら、人々は、旅人を親切に迎えてくれるホスピタリティにあふれていた。口にするのは土着のトルコ料理ばかりであったが、どれも美味しく、珍しい食べ物ばかりだった。
その一つが、世界に名だたる壮大なイスラム教寺院等、奇妙な地形を有するカッパドキアのような観光地、トルコ語という独自の言語、世界3大料理の一つトルコの宮廷料理、トルコ流のもてなしを表す「トルコチャイ(茶)」など、どれも他国にはない、独自のものであり、この国らしさを象徴している。私の最初の旅行は、ローカル長距離バスに乗りトルコを1周するもので、そこでは安旅行ながら、人々は、旅人を親切に迎えてくれるホスピタリティにあふれていた。口にするのは土着のトルコ料理ばかりであったが、どれも美味しく、珍しい食べ物ばかりだった。
2回目の訪土は仕事のためで、トルコ政府の官僚と会談するものだった。この官僚達は、どうも「偉い方」ばかりで、フレンドリーの微塵も感じられなかった。きっと、西欧とアジアの狭間で、人を信じるとだまされ、やられてしまう、とでも教育されてきたのだろう。よれよりも、むしろ会談の合間に町をうろついていた時、ある店先で新聞を購入したら、中に10人ぐらいの中年の男性がテーブルを囲んで、チャイを飲んでいた。私を見て中へ中へと手招きをして、椅子に座るとすぐに私の為にチャイが用意された。言葉は片言だが、しばし歓談し、官僚連中とはまるで逆の友好的な雑談に、この国がなぜ、西欧とアジアの中間で独自性を維持してきたか、はっきり分かるような気がしてきた。
オスマン帝国時代の復活は二度とないが、トルコのトルコたる独自性はこの国から決して消滅することはないだろう。
オスマン帝国時代の復活は二度とないが、トルコのトルコたる独自性はこの国から決して消滅することはないだろう。