東南アジアの⾷に関するコラム



芳(こうば)しいドリアンの香り?
2023.06.15
2023年11号コラム
東南アジア諸国のホテルでは、ドリアンを部屋に持ち込みができない。ドリアンの絵に×点がつけられた注意書きポスターが、よほど安ホテルでない限り、玄関先かエレベーターに貼られている。私にとっては、このドリアンの香りがとても芳ばしいし、ドリアンの美味しさは、この世の全てを忘れさせてくれるほど魅力的だ。恐らく、東南アジアの人々も、多くの人が同じように感じていると信じているが、そのきつ過ぎる匂いについては、閉口する人が多いのも事実だ。
私が、初めてドリアンを美味しいと感じたのは、インドネシアのバリ島で、ドリアン・アイスクリームを食べた時だ。これほどクリーミイかつ甘さが際立ち、匂いもさほど気にならず、最初の一口から美味しいと思って食べることが出来た。それからは、私はドリアンの魅惑の世界に浸っていった。ドリアンがあれば、どこであろうと、すぐに購買し、食す。東京の代々木公園で毎年5月頃開催される「タイ・フェスティバル」に行っても、1個丸ごと4千円から6千円と言われても買っては、王様になったような気分で楽しんだ。その頃、フィリピンでは、街中で1個丸ごと200円ぐらいなものだった。また地方のドリアン園に行くと、現地の若者が、「あいよ」と一つ返事で言っては、高い木によじのぼり、ドリアンを落としてくれる。1個丸ごと60円ぐらいなものだった。
また、マレーシアでは、ドリアンの種類も多く、タイから輸入されたものも沢山出回っており、まるでドリアン・パラダイスだ。マレーシアには4年近く住み、ドリアンをたらふく食べたが、マレーシアを離れてから最近になって、首都にある土産物品屋で、「ドリアン・コーヒー」の存在に気付いた。インスタント・コーヒーなので、最近製造が開始されたのかもしれない。早速、購入して私の珈琲店でも出したが、全く売れない。やはり日本人には、なじめない味なのかと、私が全て飲んでしまった。これを飲んだ直後、結構元気になるので、その効能は「燕の巣」(注:台湾やタイで、健康食として、良く飲まれる滋養強壮剤のようなもの)を思い起こさせるので、是非一度はお試しあれ。但し、現在は当店に在庫はなく、今度マレーシアに行った際、購入する予定。乞うご期待!