東南アジアの⾷に関するコラム



東南アジアの3大珈琲生産国の珈琲チェーン店
2023.07.19
2023年26号コラム
東南アジアの3大珈琲生産国と言えば、ベトナム、インドネシア、タイがあげられる。それでは、これらの国における珈琲の消費動向はどうであろうか。これら3国の小さな都市に行っても、小規模の珈琲店は良く見かけるし、コンビニに入っても、必ずその国の珈琲豆がパック詰めの状態で売られている。これら3国には、大手米国資本のチェーンが古くから虎視眈々と入り込もうしてきたが、今のところ、外資企業の受入れを歓迎してきたタイは、スターバックス等の外資系企業が確実に成功してきたようだが、ベトナムとインドネシアではスタバはあるにはあるが、それ以外の外資系珈琲チェーン店を見かけることはほとんどない。
(1)ベトナムのコーヒーチェーン店
先ずは、コーヒー生産大国ベトナムのコーヒーチェーン店だ。ベトナムで成功を収めているコーヒーチェーンは、民族資本の企業だ。ハノイ市や、ホーチミン市のような大都会でなくとも、地方都市においても、チェーン店に限らず、無数の小さなコーヒー店が存在するため、ここで外資が参入するのは容易ではない。ローカル資本の珈琲チェーン店なら新規参入もし易く、どこも販売敷地面積が広く、また店内には滝が流れるなど大掛かりな店内装飾があり、極めて居心地の良い空間を作り出している。私見では、コーヒー店の競争が激化した背景には、フランスが植民支配していた時の名残から、独自の珈琲文化が早くから形成されてきたからだろう。ベトナムの(外資系を除く)大手コーヒーチェーン店を創業年代順に以下に列挙する。
1996年に創業した「Phúc Long Coffee & Tea (フックロンコーヒー&ティー)」。ホーチミンを中心に全国で展開しており、ベトナム全土で76店舗が直営店。緑のティーカップのマークで有名なPhuc Long(フックロン)は、1968年からコーヒーと紅茶の製造、販売を行ってきており、店舗を開く以前から高い評価と知名度を得ている。
1997年に設立した「Aha Coffee (アハコーヒー) 」 ベトナム人の若手実業家男性Nguyễn Mạnh Hàが、一号店を2008年にハノイでオープンした。
1998年にホーチミン市で1号店を開業した「TRUNG NGUYÊN LEGEND (チュングエンレジェンド)」は、1996年に設立されたベトナムの大手珈琲メーカーTRUNG NGUYÊNグループの直営店だ。同社グループは、ベトナムで有名なインスタントコーヒーである「G7」を生産し、レギュラー珈琲の生産、加工、販売までを行い、現在ベトナムのコーヒー業界のトップに君臨している。このため、国内の店舗数以上に海外にまで知名度がある。コーヒー店の印象は、レギュラー珈琲の赤と黒の包装袋もそうだが、店舗は白と黒を基調とした高級志向となっている。店舗数は、77店舗全てを直営店として経営している。
1999年に創業された「Highlands Coffee (ハイランドコーヒー)」。ハノイやホーチミンなどの大都市を中心に全国に300店舗以上の店舗をフランチャイズで展開している。
2006年にホーチミンで、元々TrungNguyen Coffee Groupに勤めていたDoan DinhHoang氏が創業し始めた「Passio (パッシオ)」は、現在ホーチミンを中心に約70店舗を展開している。ピスタチオグリーン色の爽やかな色合いの看板が目印となっている。
2007年にハノイで創業された「Cộng Cà Phê (コンカフェ)」は、深い緑色がトレードマークのおしゃれカフェだが、フランチャイズ方式で、ハノイ24店舗、ホーチミン17店舗、他の都市10店舗のベトナム国内55店舗を展開し、海外においても韓国6店舗、マレーシア2店舗を展開している。
2011年にホーチミンで設立された「Milano Coffee (ミラノコーヒー)」は、現在ベトナムの52の省と都市にわたり、現在は1,400店で、全てフランチャイズ経営(独自の方式で成功)で、白と黒のシンプルな外観が特徴としており、手頃な価格で気軽に行けるベトナムのカフェとして、地域密着型の店となっている。
2013年にベトナム人女性Lê Thị Ngọc Thủyが創業した「Viva star Coffee (ビバスターコーヒー)」は、緑の星のマークをトレードマークとしている。現在、フランチャイズ経営で、約300店舗を展開している。。
2014年にベトナム人男性Nguyễn Hải Ninhが、ホーチミンで創業した「The Coffee House (ザ・コーヒーハウス)」は、スタイリッシュでモダンなベトナムのコーヒーチェーン店。現在、73店舗をホーチミンに、ハノイを35店舗、その他の都市に全国で合計145店舗を展開しているが、全て直営している。
2020年に、チュングエンコーヒーの創業者の元妻でありチュングエンの共同創業者・経営者を務めていたLe Hoang Diep Thaoが創業した「King Coffee(キングコーヒー)」は、ホーチミンに本社を構え、米国、オーストラリア、シンガポール、中国に4つの支店を持つTNI Corporation Company Limited(旧Trung Nguyen International)を母体としコーヒーの製造と輸出、カフェ運営を行っている。現在、ホーチミンとハノイを中心、約45店舗構えており、アメリカのカルフォルニアにも1店舗を運営している。
2021年に創業された「E-Coffee (イーコーヒー)」は、チュングエンコーヒーグループのフランチャイズを基本として展開している子会社である。現在、ベトナム全土で500~600店舗を展開している。
2021年に創業した「Aha Coffee(アハ・コーヒー)」は、フランチャイズ方式で主にハノイを中心とし、ダナンやホーチミンにも店舗を構えるなど全国に出店し、現在、73店舗を運営している。深緑と茶色のマークで、店内の家具は茶色で統一、ベトナム昔ながらの低いローテーブルが特徴としている。
先ずは、コーヒー生産大国ベトナムのコーヒーチェーン店だ。ベトナムで成功を収めているコーヒーチェーンは、民族資本の企業だ。ハノイ市や、ホーチミン市のような大都会でなくとも、地方都市においても、チェーン店に限らず、無数の小さなコーヒー店が存在するため、ここで外資が参入するのは容易ではない。ローカル資本の珈琲チェーン店なら新規参入もし易く、どこも販売敷地面積が広く、また店内には滝が流れるなど大掛かりな店内装飾があり、極めて居心地の良い空間を作り出している。私見では、コーヒー店の競争が激化した背景には、フランスが植民支配していた時の名残から、独自の珈琲文化が早くから形成されてきたからだろう。ベトナムの(外資系を除く)大手コーヒーチェーン店を創業年代順に以下に列挙する。
1996年に創業した「Phúc Long Coffee & Tea (フックロンコーヒー&ティー)」。ホーチミンを中心に全国で展開しており、ベトナム全土で76店舗が直営店。緑のティーカップのマークで有名なPhuc Long(フックロン)は、1968年からコーヒーと紅茶の製造、販売を行ってきており、店舗を開く以前から高い評価と知名度を得ている。
1997年に設立した「Aha Coffee (アハコーヒー) 」 ベトナム人の若手実業家男性Nguyễn Mạnh Hàが、一号店を2008年にハノイでオープンした。
1998年にホーチミン市で1号店を開業した「TRUNG NGUYÊN LEGEND (チュングエンレジェンド)」は、1996年に設立されたベトナムの大手珈琲メーカーTRUNG NGUYÊNグループの直営店だ。同社グループは、ベトナムで有名なインスタントコーヒーである「G7」を生産し、レギュラー珈琲の生産、加工、販売までを行い、現在ベトナムのコーヒー業界のトップに君臨している。このため、国内の店舗数以上に海外にまで知名度がある。コーヒー店の印象は、レギュラー珈琲の赤と黒の包装袋もそうだが、店舗は白と黒を基調とした高級志向となっている。店舗数は、77店舗全てを直営店として経営している。
1999年に創業された「Highlands Coffee (ハイランドコーヒー)」。ハノイやホーチミンなどの大都市を中心に全国に300店舗以上の店舗をフランチャイズで展開している。
2006年にホーチミンで、元々TrungNguyen Coffee Groupに勤めていたDoan DinhHoang氏が創業し始めた「Passio (パッシオ)」は、現在ホーチミンを中心に約70店舗を展開している。ピスタチオグリーン色の爽やかな色合いの看板が目印となっている。
2007年にハノイで創業された「Cộng Cà Phê (コンカフェ)」は、深い緑色がトレードマークのおしゃれカフェだが、フランチャイズ方式で、ハノイ24店舗、ホーチミン17店舗、他の都市10店舗のベトナム国内55店舗を展開し、海外においても韓国6店舗、マレーシア2店舗を展開している。
2011年にホーチミンで設立された「Milano Coffee (ミラノコーヒー)」は、現在ベトナムの52の省と都市にわたり、現在は1,400店で、全てフランチャイズ経営(独自の方式で成功)で、白と黒のシンプルな外観が特徴としており、手頃な価格で気軽に行けるベトナムのカフェとして、地域密着型の店となっている。
2013年にベトナム人女性Lê Thị Ngọc Thủyが創業した「Viva star Coffee (ビバスターコーヒー)」は、緑の星のマークをトレードマークとしている。現在、フランチャイズ経営で、約300店舗を展開している。。
2014年にベトナム人男性Nguyễn Hải Ninhが、ホーチミンで創業した「The Coffee House (ザ・コーヒーハウス)」は、スタイリッシュでモダンなベトナムのコーヒーチェーン店。現在、73店舗をホーチミンに、ハノイを35店舗、その他の都市に全国で合計145店舗を展開しているが、全て直営している。
2020年に、チュングエンコーヒーの創業者の元妻でありチュングエンの共同創業者・経営者を務めていたLe Hoang Diep Thaoが創業した「King Coffee(キングコーヒー)」は、ホーチミンに本社を構え、米国、オーストラリア、シンガポール、中国に4つの支店を持つTNI Corporation Company Limited(旧Trung Nguyen International)を母体としコーヒーの製造と輸出、カフェ運営を行っている。現在、ホーチミンとハノイを中心、約45店舗構えており、アメリカのカルフォルニアにも1店舗を運営している。
2021年に創業された「E-Coffee (イーコーヒー)」は、チュングエンコーヒーグループのフランチャイズを基本として展開している子会社である。現在、ベトナム全土で500~600店舗を展開している。
2021年に創業した「Aha Coffee(アハ・コーヒー)」は、フランチャイズ方式で主にハノイを中心とし、ダナンやホーチミンにも店舗を構えるなど全国に出店し、現在、73店舗を運営している。深緑と茶色のマークで、店内の家具は茶色で統一、ベトナム昔ながらの低いローテーブルが特徴としている。
(2)インドネシアにおけるコーヒーチェーン店
次に、現在ベトナムに次ぐ珈琲生産国インドネシアのチェーン店は、どうだろうか?
まず、1991年にオープンしたインドネシアで一番老舗のコーヒーチェーン店「EXCELSO(エクセルソ)」だ。現在、インドネシア30都市に、126店舗を展開しており、店名のインスタントコーヒーは、国中のスーパーマーケットで販売されている。
次に、「Kopi Kulo(コピクロ)」であるが、2017年に創業して以来、2023年4月時点でインドネシア国内に250店舗を展開している。コーヒー以外のメニューとしては「Avocatto」(アボカドとミルクで作ったドリンク)若者の間で人気だ。
4番目はJ.CO(ジェーコ)という通称で親しまれている「J.CO Donusts&Coffee」だ。コーヒー以外に、ドーナッツやフローンズヨーグルトなどの商品に力を入れており、日本のミスドみたいなものだ。最近では、インドネシア国内に限らず、香港、シンガポール、フィリピン、マレーシア、サウジアラビアなどにも進出している。
最後に、2017年にオープンした「Kopi Kenangan(コピクナンガン)」だ。現在は、国中に850店舗以上を展開しており、インドネシア各地で見受けられる。ここでは、コーヒーにタピオカやゼリーを入れるアレンジができたり、軽食がてらパンやハンバーガーなど食することができる。
次に、この国でチェーン一番広範囲に展開しているチェーン店は「Janji Jiwa(ジャンジジワ)」だ。2019年に創業仕立てなのに、現在、国中の100都市に900店舗以上を出すまでに急成長し、インドネシアで最大の珈琲チェーン店になっている。
(3)タイにおけるコーヒーチェーン店
タイには、昔から外資系企業が入りやすいので、スタバなどが沢山進出しているが、私が好きなローカル資本の珈琲チェーン店は、赤いオウムが目印の「カフェアマゾン」だ。地方に行くとガソリンスタンドの脇にジャングルのような雰囲気で店を構えていて、何となく落ち着いた雰囲気を醸し出している。このチェーン店は、タイ国営石油会社PTT(ポータートー)が展開しているため、タイ全土の殆どのPTTガソリンスタンドに併設されている。また、ショッピングモールなどでも幅広く展開しているが、珈琲はタイ人向けにかなり甘いのが出されるので要注意。
もう一つ私の好きなチェーン店は、黒い看板にカウボーイが目印の「ブラックキャニオン」。私の年代では、タイの出入国と言えば、ドンムアン国際空港が定番で、ロビー2階にこのカフェを見ると、なんとなく入って珈琲を飲み、いつしかこのカフェが、出入国の際に通過すべき関門のような感じでいた。今では、ショッピングモールやガソリンスタンドなどに展開するチェーン・カフェだが、最近ではスパゲティから本格的タイ料理を提供することにも力を注いでいるようで、私が良く通っていた大昔、ここで食事をとった記憶はなく、それを聞くと時の流れを感じる。まだ、ドンムアン空港にはあるのだろうか?
以上の通り、東南アジアの珈琲業界は生産面だけでなく消費面でもチェーン店化が進み、とんでもない勢いで発展・変転しており、大手珈琲チェーン店の競争は外資、民族資本を問わず、今後ますます激化する様相を呈している。
次に、現在ベトナムに次ぐ珈琲生産国インドネシアのチェーン店は、どうだろうか?
まず、1991年にオープンしたインドネシアで一番老舗のコーヒーチェーン店「EXCELSO(エクセルソ)」だ。現在、インドネシア30都市に、126店舗を展開しており、店名のインスタントコーヒーは、国中のスーパーマーケットで販売されている。
次に、「Kopi Kulo(コピクロ)」であるが、2017年に創業して以来、2023年4月時点でインドネシア国内に250店舗を展開している。コーヒー以外のメニューとしては「Avocatto」(アボカドとミルクで作ったドリンク)若者の間で人気だ。
4番目はJ.CO(ジェーコ)という通称で親しまれている「J.CO Donusts&Coffee」だ。コーヒー以外に、ドーナッツやフローンズヨーグルトなどの商品に力を入れており、日本のミスドみたいなものだ。最近では、インドネシア国内に限らず、香港、シンガポール、フィリピン、マレーシア、サウジアラビアなどにも進出している。
最後に、2017年にオープンした「Kopi Kenangan(コピクナンガン)」だ。現在は、国中に850店舗以上を展開しており、インドネシア各地で見受けられる。ここでは、コーヒーにタピオカやゼリーを入れるアレンジができたり、軽食がてらパンやハンバーガーなど食することができる。
次に、この国でチェーン一番広範囲に展開しているチェーン店は「Janji Jiwa(ジャンジジワ)」だ。2019年に創業仕立てなのに、現在、国中の100都市に900店舗以上を出すまでに急成長し、インドネシアで最大の珈琲チェーン店になっている。
(3)タイにおけるコーヒーチェーン店
タイには、昔から外資系企業が入りやすいので、スタバなどが沢山進出しているが、私が好きなローカル資本の珈琲チェーン店は、赤いオウムが目印の「カフェアマゾン」だ。地方に行くとガソリンスタンドの脇にジャングルのような雰囲気で店を構えていて、何となく落ち着いた雰囲気を醸し出している。このチェーン店は、タイ国営石油会社PTT(ポータートー)が展開しているため、タイ全土の殆どのPTTガソリンスタンドに併設されている。また、ショッピングモールなどでも幅広く展開しているが、珈琲はタイ人向けにかなり甘いのが出されるので要注意。
もう一つ私の好きなチェーン店は、黒い看板にカウボーイが目印の「ブラックキャニオン」。私の年代では、タイの出入国と言えば、ドンムアン国際空港が定番で、ロビー2階にこのカフェを見ると、なんとなく入って珈琲を飲み、いつしかこのカフェが、出入国の際に通過すべき関門のような感じでいた。今では、ショッピングモールやガソリンスタンドなどに展開するチェーン・カフェだが、最近ではスパゲティから本格的タイ料理を提供することにも力を注いでいるようで、私が良く通っていた大昔、ここで食事をとった記憶はなく、それを聞くと時の流れを感じる。まだ、ドンムアン空港にはあるのだろうか?
以上の通り、東南アジアの珈琲業界は生産面だけでなく消費面でもチェーン店化が進み、とんでもない勢いで発展・変転しており、大手珈琲チェーン店の競争は外資、民族資本を問わず、今後ますます激化する様相を呈している。