東南アジアの⾷に関するコラム

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東南アジアにおける新興珈琲生産国の潜在能力

2023.07.27
2023年36号コラム
日本における昨今の焙煎珈琲ブームを反映して、珈琲豆(特にアラビカ種)の大幅な需要が将来的に見込まれている。これに対して、欧米の大消費国等でもやはり需要の高まりは見込まれており、今後新たな供給元が必要となるのは必至である。供給元となる新興珈琲生産国の候補とは、フィリピン、ラオス、カンボジア、東チモール、ネパール、インドなどの、珈琲ベルト地帯に沿った生産諸国になるだろう。
珈琲の生産は、製品化されるまでに、大変手間暇のかかる作物である。多くの生産者から、製造業者、輸出入・保管管理業者、焙煎業者が、生産から小売りに至るまで珈琲豆の特質を考慮して丁寧に商品化してこそ、品質の良い珈琲が安定的に消費者の元に届く。すべての工程で、より良く管理すれば、生産量は上がり、高い品質のものが得られる。正に「珈琲は人なり」で「良い珈琲は良い人により育つ」のである。加えて、珈琲の木の品種、生産地の土壌、気候など内・外的環境も珈琲豆の品質や味、香りに大きく関わってくるので、アジアの3大生産国の珈琲は、独特の異なった味わいとなっている。珈琲豆は早く消費するに越したことはない。ワインのように醸造してから何年も寝かすと、年代別に更に味わいが加わるというようなものではない。珈琲特有の味わいの深みにはまって微妙な違いを感じ始めると、かなり奥深いものがある。
新興珈琲生産国として、私が今最も注目しているのは、フィリッピン(注:既にベンゲット州では日系人を中心に良質の珈琲を生産している)、ラオス、カンボジア(注:カンボジアには日本人の生産者が携わっているとの情報がある)の3国である。前述の通り、他の候補国もあるが、アラビカ種の特殊性と、標高の高い山にある耕地面積との関係から、伸ばせば伸びるという観点からこの3国は他に比べて今後発展の潜在性は十分なものがあると考えている。最も、今後生産者達が、高い生産技術を習得するということが条件である。現在の需要の伸びから言って、珈琲の価格が上がれば、時間の問題で、利潤を追求する農家の生産者は、競争心理が働き、管理面でも怠たらないものと信じている。
  早く私もこの3国の現状を視察しに行って、本格的に日本に輸入したいものだと考えている。