東南アジアの⾷に関するコラム

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南国の蒼い空、清澄な空気、大地が育む珈琲の木々

2023.06.17
2023年15号コラム
ミンダナオ島にあるアポ山(標高2954m)は、アラビカ種の珈琲の木の栽培に適した環境にある。しかし、珈琲の木の栽培から生産するまでの技術に関しては、未だ時間を要するものと考える。ミンダナオ島には、日本では余り知られていないが、既にレジェンドともおぼされる、熱帯農業に精通した日本人男性が、ダバオ市の隣町パナボに何十年前から居住され、農業活動をされている。この方は、日本にも大手日本の食品メーカーに、加工品の原料を輸出していて、少なからずの日本人が、この方が提供した原材料の食品加工品(例えば、福神漬け)を気がつかないうちに食卓にのせている。
私は、数年前、尊敬するこの人物の協力を仰いで、ミンダナオの「珈琲豆」や「椰子砂糖」を日本に輸出しようと試みたことがある。最終的には、私の未熟さのせいで、このプロジェクトは成就しなかったが、今でも、この当時の「夢」を心の内、どこかで追っているのかもしれない。当時、私はこの夢につき動かせられるように、何度かミンダナオに足を運び、この方と共にミンダナオの珈琲農園、加工工場等を視察訪問した。アポ山に行く途中にある珈琲農園で、生産から焙煎するまでの工程を見せていただいたのもこの時だ。その時、それ以前に視察したタイ等の工場と比較すると、その規模と設備の不十分さから、本当に良い質の珈琲を生産するまでには、時期尚早と感じられた。(注:この視察から、既にだいぶ年月を経ているので、最近では、技術的に遥かに躍進していることを期待する。)
私は、家内がダバオ出身ということもあり、現在でも知人の伝手で、フィリッピン珈琲豆を不定期ながらも入手することが出来る。最近では、なかでも、昔から日系人が多く住むベンゲット州(注:ルソン島の北部にある山々に所在)に日系人が携わっている珈琲農園の珈琲を日本で試飲することが出来た。ここの珈琲豆はアラビカ種で丁寧に選別など重要な工程が実施されており、実際にコロナ禍で視察にはまだ行っていないが、試飲した珈琲は、ミンダナオのものよりはるかに美味しいと感じられた。できれば、次回、フィリピンに行く機会があれば、この珈琲豆を輸入することができれば良いと考えている。