東南アジアの⾷に関するコラム



マレーシアのソウルフード:肉骨茶(バクテー)
2023.07.26
2023年34号コラム
マレーシアに滞在していた数年間、私にとってマレーシア料理は、全てが好奇の的(まと)であった。中華料理から、インド料理、オリジナルのマレ-料理など。どの種類のレストランに入っても「料理の味」は常に満足のいくものだった。私は、できるだけ多くのレストランに入り、あらゆるマレーシアにおける料理を楽しむため、毎晩のように仕事が終わった後、遠くは首都クアラ・ルンプール(KL)から車を走らせ2時間ぐらいの距離のレストランまで食べ歩いた。
首都KLの近郊には「クラン」という港町がある。バクテー(肉骨茶)発祥の地といわれているので、ここにはバクテー屋が多いが、このクラン港だけでなく、KLとタイ、シンガポールの周辺地域にも広がっている。それほどマレーシア人はバクテー(肉骨茶)が好きなのだ。
首都KLの近郊には「クラン」という港町がある。バクテー(肉骨茶)発祥の地といわれているので、ここにはバクテー屋が多いが、このクラン港だけでなく、KLとタイ、シンガポールの周辺地域にも広がっている。それほどマレーシア人はバクテー(肉骨茶)が好きなのだ。
バクテー(肉骨茶)とは、ぶつ切りの豚あばら肉(皮付き)や内臓肉を、スターアニス(大茴香)、シナモン(桂皮)、クローブ(丁子)、コショウ(胡椒)、ニンニク(大蒜)などの漢方薬(生薬)と中国醤油で煮込んだ料理で、土鍋で供され、白米にこのスープ(注:肉骨茶の「茶」はこのスープのこと)を掛けながら食べる。注文に応じて、野菜類、きのこ類、中国湯葉、厚揚げ、油条(中国式の揚げパン)などが入り、好みで、刻み生ニンニク・刻み青唐辛子をスープに入れる。このバクテー(肉骨茶)を食べると、すぐに元気になったと実感できるほど健康にはすこぶる良い。昔、港湾労働者(苦力)の力仕事には不可欠の食べ物であったようだ。
バクテー(肉骨茶)は、薬膳の嫌いな方には、お薦めできないが、一度この味を美味しいと感じた者にとっては、究極のものとなる。「郷に入れば郷に従え」をもじって、正に「マレーシアにいるならば、マレーシア人の好みに従いなさい」と言って間違いないものなので、このマレーシアのソウルフード「肉骨茶(バクテー)」の味を是非お試しになってみてください。